整っている表皮とは

整った状態にある表皮は以下の5つの条件を備えている。

1.基底細胞の分裂が活発

基底層は表皮の一番下にありターンオーバーの基点となる。

中心に核を持った円柱状の基底細胞が一層に並び、その間にメラノサイト(色素細胞)が点在している。

角層のCEやNMF、細胞間脂質を順調につくりだし成熟するためには、その素となる「基底細胞で生まれた新しい細胞」が健康でなければならない。

 

<基底細胞の分裂>

基底細胞が分裂を繰り返し、新しい細胞が古い細胞を上へと押し上げる。

※細胞の「分裂」と「分化」の違い

1個の細胞が2個に分かれることを「分裂」といい、細胞そのものが形や働きを変えることを「分化」という。

 

2.角層成分(CE、NMF、細胞間脂質)の素となるタンパク質の成分を順調に作りだす

有棘層〜顆粒層ではCEの素となるタンパク質がつくられ、さらにCEそのものの形成もスタートする。

 

有棘層---基底細胞で生まれた細胞の一部は、有棘細胞となり、数層重なって有棘層を形成。顆粒層や角層を形成するために必要な物質やCEの素となるタンパク質の生成がはじめられる。

 

顆粒層---扁平な形をした顆粒細胞からなる、角層の下部にある1〜2層の層。

顆粒細胞の中には2種類の顆粒が存在している。

 

ケラトヒアリン顆粒---ガラス質状の顆粒で紫外線を反射させる働きがあり、角層細胞に変化(分化)する時に、NMFになる。

・ラメラ顆粒---細胞間脂質の素が蓄えられていて角層細胞に変化(分化)する時に、細胞間脂質になる。

 

3.ターンオーバーの速度が正常

ターンオーバーがスムーズに行われていると、整っている状態の角層をつくりだす。ターンオーバーは早すぎても遅すぎても不調になり、角層にとって重要なバリア機能や保湿機能が保てなくなる。

 

<ターンオーバーが早まった状態とは>

紫外線による日焼け(サンバーン)や乾燥による肌あれ等により、一時的にターンオーバーのサイクルが早まる。細胞の分裂や押し上げるスピードが早すぎて核を持ったままの細胞(未熟な細胞)が皮膚表面に現れる。

その為、CEの成熟や細胞間脂質、NMFの産生も充分に行われず、バリア機能、保湿機能が低下し角層の水分不足がおこる。

 

<ターンオーバーが遅くなった状態とは>

加齢や血行不良などにより皮膚機能全体が低下すると、機能低下した細胞が生まれる。

すると押し上げる力が弱くターンオーバーが遅くなり、結果的にバリア機能、保湿機能が低下した角層になる。

また、ターンオーバーが遅いため、古い角層がいつまでも皮膚に止まり、角層が肥厚する。