整っている状態の角層とは

整っている状態の角層とは以下の7つの条件を備えている。

1.水分量が適切

角層には10〜20%の水分が含まれており、皮膚内の水分を守っている。角層の水分量は、深層部で最も多く角層部にいくにつれて減少する。

水分量が10%以下になると皮膚は乾燥し、滑らかさやしなやかさを失う。

 

2.CEが成熟している

CEは角層の深層部で成熟し始め、中層部で成熟が完成し、さらに表層部においてもその役割を果たす。

充分にCEが成熟すると、細胞間脂質がきちんと配列でき、バリア機能を保つことができる。成熟したCEは、バリア機能の要である。CEが未熟なまま角層の表層部まで至ってしまうと、じゅうぶんなバリア機能を果たすことができない。

 

3.細胞間脂質の配列が整っている

角層細胞同士は細胞間脂質によってつながっている。この細胞間脂質の配列が整っていることが、角層のバリア機能を良好に保つ上で大変重要、細胞間脂質は成熟したCEを土台にして配列を整えることができる。

 

4.NMFが充分に産生

アミノ酸類を中心に構成されているNMFは、角層の深部で産生され、中層部で最も増加し、表層部に近くと減少する。NMFが、充分に産生されていると皮膚はうるおいを保つことができる。NMFは、保湿機能の要の存在である。

 

5.酵素の働きが順調

皮膚の中には、様々な酵素が存在しており、角層においてはCEの成熟、NMFの産生、角層のはく離など、酵素は様々な代謝作用を促す働きをしている。

また、これらの酵素は、角層の保水環境が良いと順調に働く。

 

酵素トランスゲルタミナーゼ---CEの成熟を促す

酵素トリオプシン---角層のスムーズなはく離を促す

 

6.皮脂膜の状態が整っている

皮脂膜は、皮脂腺から分泌された皮脂が皮膚表面に広がって汗腺から分泌された汗とまざりあってできる。皮脂膜は、多量の汗や洗顔などによって流されてしまう。潤いのある健康な肌を保つためには、皮脂膜がバランス良く整っていることが大切。

 

皮脂膜の働き

・皮膚表面で角層の水分の蒸散を防ぎ、潤いを守る

・化学部室などの異物や細菌などの皮膚内部への侵入を防ぐ

 

7.pHバランスが良い

皮膚表面のpHは、通常4.5〜6.5の弱酸性である。このpH域にあると、細菌の活動を抑えて皮膚に付着した細菌の繁殖やトラブルの発生を防ぐことができる。皮膚のpHは入浴などにより一時的な中性に傾くことがあるが、健康な状態であれば元のpHに戻す働きがある(アルカリ中和)。